R18について考えよう

illustrated by ウチこし(ゴンダム)

まずはここから

今にちにおける同人誌や即売会を取り巻く環境は大きく変化しています。

同人の表現の遊び場としては拡大し、国内外から注目を集める巨大市場へと成長しています。
同人誌即売会は、公的な会場を使用し、一度に数万人という人を集める特性や、個人間のやり取りで趣味作品の発表の場という枠組みに留まらず、 法令を遵守し、参加者や主催者による自主的な表現の規制や頒布方法の制限を行う強い自浄機能が求められています。
その中心にいる我々は、外部に対し、社会と共存していく事を明確に意思表示できる体制を取らなくてはいけません。
よって、作者・頒布者、そして主催者による自主規制が存在し、適正で安全な頒布方法の措置を取ることが、いま最も必要とされているという事実を、一人でも多くのサークル参加者、一般参加者にご理解を頂きたいと赤ブーブー通信社は考えています。

成人向け発行時の留意点について

サークル参加案内に留意事項を記載しております。同人誌の豊かな表現は、皆様一人一人によって支えられています。「また聞き」や「憶測」ではなく、お手元に着きましたら必ずご自身でご熟読ください。
R18、刑法175条には明確な基準はなく、社会情勢の変動や描写の緻密さ、表現形態によって常にその判断目安には大きな幅があります。あらゆる時期・作品に適用しうる自主規制を設ける事は大幅な萎縮と同人文化の消失を招きます。
同人誌の豊かな表現の場の維持と法令遵守はどちらも非常に大切な問題であり、私たちは関係各所との情報交換を行い広く研究し、参加案内等に「赤ブーブー通信社」として現時点における1つの考え方を記載させていただいております。
表現の幅だけ、目安にも幅があります。目安の幅を縮めることは表現の幅を縮めます。サークル参加で不安・不明な部分がありましたら「憶測」や「また聞き」ではなくぜひ弊社までお問い合わせください。


わいせつ図画(露骨な性器描写)について

2014年5月より成人向表現におけるご案内を改定し、見本巡回時も同様に皆様にご案内してまいりましたが、露骨な性器描写の修正目安について、この1年を経て広く浸透している状況が確認できております。まずは皆さんの情報共有と協力に感謝いたします。
目安となる商業流通作品も近年大きな変動なく推移していることから、赤ブーブー通信社も引き続きこれまでと同様の内容にて参加案内等でお知らせをして参ります。
上記のとおり昨年からの修正目安については1年を経て概ね浸透していますので、2015年5月以降発行の同人誌で 《明らかに「昨年より案内している目安」から逸脱した「露骨な性器描写」》については、場合により修正等の指示をさせていただきます。その際はスタッフの指示に従ってご協力をお願いいたします。
目安についてはできるだけわかりやすく参加案内に記載してきておりますが《抽象的で修正がまず必要のない「ことば表現」》〜《リアル度合が非常に高い「写真(実写動画)》まで、修正程度には描写の具体性によってグラデーションがあり、かつ社会情勢により簡単に変動します。
参加サークルの皆さんにおきましては、参加案内に同封の「成人向け作品頒布の案内」を必ず一読し、まずは【表現手法・対象読者など、ご自身のスタンスに近い商業誌】を参考に、修正目安について自分なりの考えを持つようにしてください。
わからない部分、知りたいことがありましたら本ページ最下段の専用フォームからお気軽にお問い合わせください。


R18について

作品傾向としてのR18本と「修正対応」を同一視しがちな参加者が見受けられます。
露骨な性器描写は刑法で禁じられており「修正対応」を必要としますが、決してR18作品の頒布が禁止されているものではなく、18歳未満者に直接閲覧・頒布してはいけないルールが決められているものです。かならず分けて考えてください。

どこまでがサークルの頒布責任?

R18を判断するのは、原則発行主であるサークルですが、閲覧等の制限は頒布者の責任となります。
サークルスペースでの頒布は当然サークル代表者が責任をもって頒布する必要がありますが、一旦サークルの手許から離れたR18同人誌は、その同人誌の所有者(書店の場合は書店側)が管理者として家庭内においても18歳未満の者に閲覧させないように努力する必要があります。*常に発行主の責任が問われる「わいせつ図画」とはこの点で大きく異なります。
また、サークル参加者に注意いただきたい事は「その作品がR18に該当するかの判断」と「サークルスペースからの頒布時において18歳未満に閲覧・頒布しないよう配慮すること」の2つとなります。表紙へのR18表示の明記もお願いします。

本当にR18作品ですか?

昨今、過剰な同人誌のR18化が散見されます。原則、発行主であるサークルさんの意思を尊重するものですが、本来18歳未満の参加者も閲覧できる同人誌が制限されている状況は好ましいものではありません。
本当に【性行為や暴力などの激しい直接描写】を含んでいるのかよく吟味してください。少なくとも、さらりとした簡易描写や抽象表現 においてはよっぽど18歳未満に悪影響をあたえる作品でないかぎり、R18とする条例上の必然はありません。(東京都はページ数ではなく、全体としての判断|包括指定の大阪府などは全体ページの1割以上の描写でR18となります)
主な開催地である東京を除き、大阪府・福岡県については「包括指定」とよばれ過激な性表現等該当すると思われるページが全体でどれくらいの量があるのかで判断されます。
ただし、どこまでの表現が該当するのかは事細かに明示されているわけではありません。東京都では、ページ量も一つの判断材料として様々な観点から不健全図書指定を行なっているようです。可能性としては、同じ作品でも都道府県により判断がわかれる場合もあります。なお、R18か否かの解釈が人により異なることは当然ありえます。
例えば、商業出版社と東京都で解釈が異なると、東京都側は「不健全図書指定」を行いますが、あくまで自主規制を促すものであり、その解釈の違いにおいて罪に問われるような性質のものではありません。同人誌も基本は同様です。
大切なのはご自身の作品への考え方を明確にしておく事です。

R18とわいせつ物

わいせつ物

全年齢に向けての閲覧・頒布、又は来場者が閲覧・購入してはいけない物
刑法175条 わいせつ物陳列罪

R18(成人向け)

18歳未満の者に、閲覧・頒布をしてはいけない物

青少年健全育成条例
ただし、これは販売という点においての表現で、条例による実際の定義は『18歳未満の者に売っても、閲覧させてもいけないもの』です。
この点を誤解されている方が多いのですが、ただ18歳未満の方に売らなければ良いのではなく、中身も閲覧させてはいけないという点に、充分注意してください。
赤ブーブ通信社ではR18に表記統一しています。
└ 作者・頒布者の表記文言(18禁・成人指定・ADULT ONLYなど)は自由です。

CITYのルール

R18作品を発行する際は、表紙に明記するように努めてください。

R18表記は、表紙への表記を強く推奨します。条例では表示位置の指示まで定めておりませんが、表示の目的は18歳未満が誤って手に取らないことであり、事実上表紙以外への表示では意味がありません。
同様に、どんなに小さくても入れておけばいいということではなく、それぞれの表紙のイラスト、イメージ等に応じて、はっきりとR18作品であることを判別できるサイズとデザインを心がけてください。
もしも、既に印刷済みで、特に「R18や18禁」の表示を印刷していなかった場合、参加案内に同封する卓上用R18表示カードの使用を推奨いたします。
この他、見本誌に18禁と表示した帯をつける・自作POPを作って表示するなどの方法を講じていただければ結構です。これらは、18歳未満の方が、知らずに、もしくは誤って18禁同人誌を手に取る可能性を排除することが目的です。現在、条例によってコンビニ等で成人向け雑誌のラックを分離してある例を見ればわかりやすいと思います。


18歳未満とわかる者にR18作品の閲覧・頒布を行わない

対面販売を基本とし、明らかに18歳未満とわかる者にR18作品の閲覧・頒布を行わないでください。疑わしいと感じた場合は、勇気を持って声をかけるようにしてください。この点は、売り子さんへの徹底もお願いします。
他にも、注意いただきたいのは(R18作品を扱っているサークルで)作者自身が18歳未満であるとか、18歳未満の売り子がいるというケースも禁止事項です。(直接作品頒布に携わらない・本を手に取らない18歳未満のメンバーは代表者の責任でしっかりと管理してください。また誤解のないように十分ご配慮し問い合わせ等には各自しっかりと説明できるようお願いいたします。)

18歳未満の来場者の方は、サークルスペースにおいてR18など表示のある作品の閲覧や購入をしてはいけません。

確認点:赤ブーブー通信社では、スタッフによる頒布物の『R18指定』や、『R18作品』か否かを判別するために見本誌回収は行っておりません。


会場から拾った参加者のいくつかの誤解について

Q.女性向けとして出している分には18禁は特に必要が無い。(もしくは、うるさくない)
A.元来大きな間違いです。後に述べますが、今後女性向けに対しても動きがある可能性はあります。

Q.マンガと違って、小説本はR18の対象にならない。
A.これも、間違いです。「R18」「わいせつ物」になりにくいという現実はありますが、内容が成人向けであれば『R18』かどうか検討する必要がある点は変わりません。

Q.同人誌は、アマチュアの趣味の発行物だから、商業誌と違って社会的な責任は無い。
A.同人誌とは言え、発行に伴う最低限度の責任は、たとえ発行数10冊のコピー誌であったとしても商業誌と変わりません。


見本誌の提出をお願いする場合について

各サークルの皆様が頒布物に関する主催者の規定を順守しているかどうか確認するため、スタッフが巡回しています。巡回中、皆様の頒布物に頒布禁止内容に抵触する可能性のある物が確認された場合に、見本誌として提出をお願いしております。
巡回スタッフから、その旨の依頼があった場合は、見本をご提出ください。ご協力をお願いします。
また、見本確認中に、頒布物の内容について個別に相談させて頂く場合があります。原則、頒布可能なように相談させて頂きますので、その際にはご協力をお願いします。
なお、見本を提出して頂けなかった場合や、頒布物に問題が確認された場合、そのサークルの全ての頒布を停止させて頂く場合があります。予め、ご了承ください。なお、ご提出頂いた見本の返却はいたしません。

参考:R18って?

R18は、各都道府県が定める青少年健全育成条例に基づいて行っている法令遵守を求める行為や表示です。
主に性表現を中心に自主規制を強く求められていますが、作品に性行為、暴力、自殺、犯罪等が含まれているからといって、安易に全てをR18対象にしなくてはいけないという訳でもありません。

【例えば、キス程度のシーンがあるぐらいのBLや、ヤオイというような条件であるならば全年齢対象の領域でしょう】

あくまで作品全体の表現内容によって判断する必要があり、条例により、まずはその内容・テーマの表現者たる発行主(サークル)の自主規制が求められています。
また、都道府県が青少年健全育成条例に基づいて指定する「不健全指定図書」を参考に判断すると、性表現を中心に下記の項目が作品の【主たる内容・テーマ】とされ【直接的描写を多く含む】場合、マンガ・小説等、表現方法を問わずR18と判断される可能性があるようです。 内容を吟味する際の参考にしてください。

*性行為【特に、激しい直接描写・児童売買春・性風俗・近親相姦・強姦 等を含む場合】
*残虐な暴力【特に、死体損壊・リンチ・虐待 等を含む場合】
*自殺・薬物【特に、自殺・麻薬乱用に誘導する表現 等を含む場合】

その他、都道府県の指定動向は、青少年をあずかる地域や保護者、教師等が強い動揺を覚えやすく、かつ一般書籍として流通している作品に対して注視していると思われます。(2022年4月末時点)

取り組みと考え

赤ブーブー通信社では、2007年3月のHARU11開催から、R18表示(18禁・成人指定・ADULT ONLY等)の推奨と、注意喚起のための参加案内封筒へのリリースとスペース机上における成人指定POPカードを配布しています。
その後、参加者の一部から「R18表示を求めるなら、R18の具体的な線引きを赤ブーブー通信社で提示して欲しい」という声がありました。 こちらは、当初、要望として最も多いケースであろうと、想定しておりました。確かに、主催者側で一定のラインを決めてしまえば解りやすくなるかもしれません。
しかし、私たちは「具体的な線引き」を定めていません。それには大きく3つの理由があります。


「具体的な線引き」を定めていない3つの理由

第一に、該当条例が「その作品の内容」を対象としていることにあります。

単純に「場面描写」だけを判断基準にするわけではありません。無限でしかもセンシティブな作品内容に画一的なラインをあてはめて、ルール適用するのはナンセンスですし、大幅な表現の萎縮を招きます。

第二に、該当条例には「その本来の目的を逸脱して、これを濫用し、都民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」ともあり、安易な線引きには待ったがかけられています。

この一文は表現者にとって非常に大切な権利であり、作者自らが決して放棄してはいけないと考えています。(引用:東京都青少年の健全な育成に関する条例 第3条の2)

第三に、最も重要なポイントとして「発行責任」の存在があります。

これは、発行人であるサークル各自が責任を持って行わなければいけないことです。この責任は、作者のプライドでもあり、大切な権利でもあります。当然の話ですが「作者」は「作品」を作る「人」であり、「作品」は「作者」が作った「物」です。さらに当たり前の話を続ければ「作品」を触れるのは「作者」でこそなければいけません。


このような理由から、赤ブーブー通信社では「具体的な線引き」を定めず、まず「作者」が「作品」に対して責任を持って(この場合、R18であるか否かを)ご判断いただきます。もちろんその上で、客観的に見て、その判断に大きなズレがある場合に初めて私達「主催者」が(「作品」に対してではなく)「作者」に対して、開催上必要な範囲で個別の話し合いができるもと認識しているからです。

本の奥付

本の発行責任に絡み、R18表示と合わせて現在問題視されているのが奥付の有無。もしくはその記載内容です。
奥付は、発行物の素性、責任所在等を明確にするものです。
現代では法的な義務ではありませんが、出版慣例として実質的に同等の意義を持って存在していると言って差し障りはないでしょう。
そのため、奥付の明示されていない発行物は、行政から責任を取れない何かがある。
あるいは、最初から責任を取る気が無いと判断されかねないことになります。
言うまでもなく、例え同人誌であっても、不特定多数の人に頒布、閲覧を行う以上は発行に伴う責任は、商業誌等となんら変わるものではありません。

基本的な奥付情報
(1)タイトル
(2)発行日(版を重ねている場合は、その明記も)
(3)サークル名
(4)著者名
(5)発行責任者名
(6)発行責任者住所等連絡先
(7)印刷所名

以上が最低限度の必要項目ですが、商業誌のように、発行に際して出版社等が法的に情報保護を行うわけではない同人誌の場合、特に(6)の連絡先については、最低限メールアドレス、サイトのURL等の記載でも問題ないかと思われます。
また、奥付を明示しているサークルでも意外と見落としがちなのが(7)印刷所名で、これは連絡先明記と同等の意義があることとお考えください。(もちろん、コピー誌に関しては印刷所名の必要はありません)

社会との共存・ご意見ノート

赤ブーブー通信社では、東京都の青少年健全育成条例改定案に関する議論を切っ掛けに、2010年3月HARU15開催から会場内にこれらに関するパネル展示コーナーと意見ノートを設置し、この問題の情報発信と啓発、意見共有に努めています。(コーナー設置は2017年で一旦終了)

この問題の背景は何なのか、私たちが取り組むべき内容は何なのか?同人活動をされる皆様で実態を理解し、認識を深めていただく事が大切です。これからも表現に関する問題意識の醸成とその啓発・発信が重要であると考えています。

相談窓口について

特に初心者の方にR18表示はおろか、性器描写の修正の必要性を知らない(あるいは、修正の仕方を知らない)と思われるケースがしばしば見られます。(当然、修正対象として頒布停止になります)
また、ここでは赤ブーブー通信社でのルールとしておりますが、現実問題として、全国にあるアマチュアイベントのいずれかで、性的・暴力的な表現が含まれる頒布物や18歳未満への頒布などが問題となった場合、 その影響が全国の同人誌サークル、イベントに及ぶ危険性をはらんでいます。 状況的に、現在緩やかにその危険性は膨張傾向にあると言ってよいでしょう。 もしかすると、その地雷を踏んでしまうのが貴方かもしれないのです。

もしも「修正の仕方がわからない」「どこまで描けば修正対象となるのか」というサークルの皆様。
あるいはイベント主催者の方で「R18作品を対象とした場合の修正や頒布基準や対応策がわからない」という方。
ご相談をお受けいたしますので、まずは以下フォームからご一報ください。


初心者FAQ R18について(こちらも多くのご質問にお答えしています)
相談窓口:赤ブーブー通信社 R18担当

電話03-3225-8520(受付 月火水金 11:00〜19:00/土日祝 休み)



問い合わせフォーム

【重要】商業誌の動向を参考に「個々作品」の「現時点での」「赤ブーとして」の《目安》をおこたえしております。 これらの目安を「普遍的・他の作品」に対する基準には転用《できません!》。SNS等での不特定多数との共有は、他者がその物差しを当てはめてしまう「勘違い・誤解」を招く恐れがあるため、ご遠慮ください。ご理解をお願いいたします。

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